有償ストックオプションの活用
資本政策comは、株式公開支援専門の公認会計士事務所により運営されております。
「ベンチャーキャピタル等から投資は受けたいが、経営陣の持株比率がダイリューション・希薄化してしまうのは避けたい。」
資本政策.com(石割公認会計士事務所)では、上場会社を含む数多くのストックオプション価値評価業務の経験を通じて蓄積したノウハウに基づきストックオプション価値評価証明書を発行します。
ストックオプションを有効活用することで、持株比率の低下を抑えながらもVCから資金調達することが可能となります。
税制適格ストックオプションの有用性と限界
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1.資本政策におけるストックオプションの有用性と問題点
株式公開(IPO)を目指してベンチャーキャピタル等の投資家から資金調達を試みる場合、入念な資本政策の立案が必要となります。(「資本政策とは?」、「資本政策の目的」参照)
資本政策立案に際して、「ベンチャーキャピタルからの資金は欲しいけれども、起業家や安定株主の持株比率を下げたくない」というトレードオフの関係に悩むことが多々あります。
例えば、株式公開後も持株比率50%超を維持したいけれども、出資を受けるとダイリューションしてしまい50%を下回る場合などがあります。
この際に、ストックオプションを起業家や安定株主に付与することで、持株比率をダイリューションさせることなしに、ベンチャーキャピタルからの出資を受けることが可能となります。
資本政策の一環としてストックオプションを付与しておけば、何らかの事由で起業家や安定株主の持株比率を引き上げたい場合には、ストックオプションの権利を行使すれば発行済株式ベースでの持株比率が引き上げられます。
(但し、権利行使価額、権利行使期間及び権利確定条件等を入念に検討して付与しておく必要があります。)
2.ストックオプションと課税
しかしながら、ここで問題となるのが、税金です。
ストックオプションは、原則として権利行使時点で(権利行使時の株価−権利行使価額)に対して給与所得として課税がなされます。(給与所得は最大約50%の課税)
納税額が多額になることのみならず、取得した株式の売却前にも関らず課税されてしまうことに留意が必要です。
すなわち、手元に現金がないにもかかわらず、税金を納める必要があるということです。
例えば、権利行使時の株価−権利行使価額が1億円だった場合、ストックオプションの権利を行使して株式を取得した時点で5,000万円が課税されてしまいます。
3.ベンチャー社長は税制適格ストックオプションを活用できない?
ストックオプションと税金の問題は、一般的には税制適格ストックオプションを利用することで解決可能となります。
税制適格ストックオプションとは以下の要件を満たすことによって、課税上有利な取扱を受けることが可能なストックオプションです。
(1) 付与対象者
会社又は子会社の取締役、執行役または使用人等であること。但し、大株主(未上場会社の場合は発行済株式数の1/3を超えて保有する株主、上場会社の場合は発行済株式数の1/10を超えて保有する株主)と大株主の特別利害関係者は除く。
(2) 権利行使期間
新株予約権の権利行使は、権利付与決議の日後2年を経過した日から10年を経過する日までの間に行わなければならないこと
(3) 年間の権利行使価額の限度額
年間の権利行使価額の合計額が1,200万円を超えないこと
(4) 1株当たりの権利行使価額
1株当たりの権利行使価額は、新株予約権に係る契約を締結した株式会社の株式の当該契約の締結の時における1株当たりの価額に相当する金額以上であること
(5) 譲渡の禁止
当該新株予約権については譲渡をしてはならないこととされていること
(6) 会社法の手続きに反しないで行われたものであること
新株予約権の行使にかかる新株の発行又は株式の移転が、商法第280条の21第1項(有利発行の決議)に定める事項に反しないで行われるものであること
(7) 権利行使により取得した株式の証券会社等への管理等信託
発行会社と証券業者又は金融機関との間で一定の管理等信託契約を締結し、当該契約に従い、一定の保管の委託又は管理等信託がされること
具体的には、権利行使時点では全く課税されず、株式売却時にキャピタルゲインの額に20%の課税となります。
しかし、持株比率が1/3を超える大株主の場合には、税制適格ストックオプションの要件を満たさないため、この税制適格ストックオプションを利用することが出来ません。
4.有償時価発行ストックオプションを資本政策に活用
税制上優遇される税制適格ストックオプションは、上記の通り、持株比率が1/3を超える大株主の場合には利用できません。
したがって多くの経営者が税制適格ストックオプションを利用できないこととなります。
しかしながら、大株主の起業家でもストックオプションを有償発行(時価発行)することで、ストックオプション行使時点での課税を免れるスキームを構築することが可能となります。
ストックオプションの有償発行(時価発行)は、資本政策において、起業家の持株比率のダイリューション(希薄化)を防ぐための解決策になります。
そこで、有償発行(時価発行)の場合、ストックオプションの価値がいくらになるのかが問題となりますが、ブラックショールズモデル等のオプション評価モデルを利用して価値を算定することが可能となります。
資本政策.com(石割公認会計士事務所)では、「ストックオプションの有償発行(時価発行)スキーム構築」、「新会計基準に対応したストックオプションの価値評価計算」、「ブラックショールズモデルによるストックオプションの評価証明書発行」等に関するサービスを提供しております。 ブラックショールズモデルに依拠した価値評価計算をご希望の方はぜひご相談下さい。
ダイリューション防止のストックオプション価値評価についてのご相談やご依頼はこちらからどうぞ。
5.ストックオプション評価額引き下げ
有償発行(時価発行)ストックオプションは行使時課税を避けられるメリットがありますが、一方で発行時に資金拠出が必要となるデメリットがあります。
資本政策.com(石割公認会計士事務所)では、エキゾチック型ストックオプション(ノックアウト・バリア型や強制行使型等)を活用した、オプション評価額を引き下げるスキーム構築が可能です。大手金融SI会社と共同開発した専用ソフトウェア(モンテカルロ・シミュレーション)で監査法人を説得する評価額を計算します。